寺田農の追悼に悲しみ広がる: ウルトラマンからムスカ大佐まで、伝説的なキャリアを振り返る

俳優で声優の寺田農さんが81歳で亡くなった。

所属事務所のCESエンタテインメントが公式サイトで発表した。

寺田さんの訃報を受け、映画監督の金子修介氏は「まさかと思いましたが本当なのですね」と別れを惜しみ、一緒に仕事ができたことを誇りに思うと追悼のコメントを発表した。

寺田農さんは、東京の芸術家が集まる地域「長崎アトリエ村」で育った。

この地域は後に詩人小熊秀雄の詩で「池袋モンパルナス」として有名になった。

寺田さんは1942年にこの地域で生まれ、幼少期は広大な敷地で絵を描くことを楽しんでいた。

しかし、小学校2年生の時に文部大臣賞を受賞したことをきっかけに、絵に対する興味を失ったという。

寺田農さんは、1986年に『天空の城ラピュタ』のムスカ大佐の声を担当しましたが、宮崎駿監督とのトラブルにより、ストレスを感じていました。

具体的には、寺田さんは声の収録時に、アニメーションが未完成で「線画」しかなく、指示も「15秒でこのセリフを言ってください」というものでした。

この状況に寺田さんは不満を持ち、帰ろうかと思ったほどだったそうです。

また、収録後も、自分の経歴紹介に『天空の城ラピュタ』が記載されることを嫌がるほど、この作品をストレスに感じていたとのことです。

女優の和田光沙は、寺田農氏の映画「窒息」の現場での様子を振り返り、相米組や岡本組の話を鮮明に語り、役者として小道具にこだわる姿勢と、進化を止めない姿勢が印象的だったと述べています。

映画監督の八木毅氏が寺田農さんについて語った内容によると、寺田さんは洒落ていてカッコよく、優しい方だった。

メトロン星人役で共演した際には、素敵だったと評し、著作「実相寺昭雄の冒険」では、寺田さんから多くの話を聞けたと述べている。

俳優の中野英雄は、故寺田農さんとの思い出を振り返り、初めて会ったのは36年前で、寺田さんの丁寧な芝居に驚いたという。

共演は数回だったが、毎回緊張したそうで、ゆっくり休んでほしいと追悼の言葉を述べている。

中野英雄の他に、しのんだのは大先輩俳優で、寺田農さんの最後となった作品のロケ地が茨城だった。

実相寺昭雄のメモリアル・コンサートは、今年で4回目を迎え、寺田農が司会と話を担当している。

寺田は、実相寺と映画の仕事はあまり一緒にしたことがなく、主にクラシック音楽の朗読を一緒にやっていたと語る。

コンサートでは、実相寺が撮った資生堂のCMに使用されたモーツァルトの曲を紹介し、カンヌ映画祭でグランプリを受賞した逸話を話している。

実相寺は、音楽について専門的な知識を持っていたわけではないが、小澤征爾や朝比奈隆など著名な音楽家からもその才能を認められていた。

コンサートは、実相寺のクラシック音楽担当者が企画しており、実相寺は映画スタッフと音楽スタッフを分けていた。

寺田農と実相寺昭雄監督は非常に親しい友人でしたが、映像制作においてはほとんど協力していませんでした。

寺田は実相寺のコンサートオペラで朗読を担当することが多かったものの、映画やテレビ番組の演出には携わっていませんでした。

実相寺は撮影現場で頑固に自分のスタイルを貫き、寺田はクラシック音楽の朗読に集中していました。