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キオクシアがナノインプリントリソグラフィで限界を超え、EUVと対峙する

こんにちは、ライターのYUKOです。

ナノインプリントリソグラフィの実用化に向けた課題

マスクを押し当てる際に樹脂がはみ出さないようにするために必要な技術は何か?

樹脂塗布量の制御

ナノインプリントリソグラフィ(NIL)は、15nm以下の回路パターンを安価に製造できる技術。

NILは、回路パターンを刻んだマスクをウエハー上のレジストに押し付けて回路を形成する。

しかし、マスクを押し当てる際に樹脂がはみ出さないようにし、均一な厚さの樹脂層を形成するには、樹脂の塗布量と位置を制御する技術が必要。

キヤノンは、この課題を解決するために、樹脂の塗布量と位置を高精度に制御する技術を開発した。

詳しくみる ⇒参照元: ナノインプリントリソグラフィ

ナノインプリントの概要と用途

ナノインプリントで一般的に使われる方式は?

加熱方式と光方式

ナノインプリントは、ナノメートル単位の微細なパターンを形成する加工方法です。

加熱方式では型を加熱して押し付け、冷却して固めてから離型します。

光方式では透過性のある型を押し付けた状態でUV光を照射し、樹脂を固めてから離型します。

半導体材料の加工では主に光方式が利用されています。

ナノインプリントの主な用途は光学系の分野で、LEDやレーザーの発光部の表面構造、光学系フィルム、微細なレンズなどに使用されています。

近年急速に開発が進んでいるのがAR/MRグラス用の製品(回折光学素子)です。

詳しくみる ⇒参照元: 【図解】ナノインプリント実用化の最前線 ~用途ごとの装置メー...

ナノインプリント技術の今後の展開

ナノインプリント技術は今後どのような分野で普及する見込みですか?

バイオ、集積回路

ナノインプリント技術は、形状形成が困難な光学系用途で普及しています。

今後、バイオ分野や集積回路分野でも普及が見込まれます。

特に、キオクシアのNANDフラッシュメモリの製造プロセスでは、ナノインプリント技術が活用されており、その詳細についてはイノベーション四季報2022年冬号で解説されています。

また、ナノインプリント技術の開発と事業化に携わった楠浦氏の経験談は、無料メールマガジンで配信されています。

さらに、キヤノンのナノインプリント装置とASMLのEUV露光装置を比較したセミナー動画も公開されており、ナノインプリント技術の最先端情報を提供しています。

詳しくみる ⇒参照元: 【図解】ナノインプリント実用化の最前線 ~用途ごとの装置メー...

ナノインプリント:EUV露光装置の低コスト代替品

EUV露光装置と比較して、ナノインプリント装置の最も重要な利点は?

安価

ナノインプリント装置は、EUV露光装置よりも安価かつシンプルです。

これは、ナノレベルの精度が必要な領域が型の部分に集約されているためで、それによって装置の製造コストと使用コストが低減されます。

また、ナノインプリント装置はEUV光を使用しないため、専用の光源と反射鏡が不要で、さらにコスト削減につながります。

キヤノンは、ナノインプリントの実用化に向けて位置ずれ補正技術を開発しており、1nm以下の精度で計測・補正を行うことができます。

この技術により、これまで不可能だった15nm以下の線幅のパターン形成が可能になり、2025年には実用化される予定です。

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ナノインプリントリソグラフィによる超微細加工の低消費電力化

ナノインプリントリソグラフィで製造された半導体は従来の手法と比較して、消費電力はどのように変化するか?

約1/10に抑制

ナノインプリントリソグラフィは、微細な回路形成を可能にし、現像工程を不要にすることで製造プロセスを簡素化する技術です。

DNPは2015年に業界初のワンストップソリューション「DNPナノインプリントソリューション」をリリースしました。

2021年にはキヤノン、キオクシアと共同開発したナノインプリントリソグラフィにおいて、半導体製造の消費電力を従来手法の約1/10に抑制することに成功しました。

この低消費電力は製造コスト削減に貢献し、カーボンニュートラルの実現に寄与します。

詳しくみる ⇒参照元: 半導体製造のカーボンニュートラルを加速する「ナノインプリント...

ナノインプリントのバイオテクノロジー分野での活用

ナノインプリントを利用してバイオテクノロジー分野で開発された技術は何ですか?

細胞の三次元培養の足場

ナノインプリントはバイオテクノロジー分野でも活用されており、DNAやタンパク質を解析するチップの製造や、細胞の三次元培養の足場として利用する技術が開発されています。

装置メーカーのEV Groupのナノインプリント装置はチップの製造に利用されており、スタートアップのSCIVAX(現在はORGANOGENIX株式会社)は、ナノインプリント構造を細胞の培養足場として利用する技術を開発しました。

詳しくみる ⇒参照元: 【図解】ナノインプリント実用化の最前線 ~用途ごとの装置メー...

半導体製造のグリーン化:低消費電力リソグラフィ技術の開発

半導体の微細化に伴う課題は何か

製造時の消費電力の増大

半導体の微細化が進めば進むほど、製造時の消費電力が大きくなる傾向があり、家庭の約4か月分の電力を消費することもある。

この課題を解決するために、従来のEUVリソグラフィとは異なるアプローチとして、低消費電力かつ低コストでの製造を可能にするナノインプリントリソグラフィが注目されている。

ナノインプリントリソグラフィでは、回路パターンを形成したテンプレートを樹脂等に圧着することで、超微細な凹凸パターンを転写し、EUVリソグラフィの1/10の消費電力で製造できる。

詳しくみる ⇒参照元: 半導体製造のカーボンニュートラルを加速する「ナノインプリント...

半導体微細化の革新:ナノインプリントリソグラフィ

半導体チップの微細化を促進する従来の露光技術の限界とは?

コストの増大

半導体チップの微細化は、これまで光源の短波長化と露光技術の開発によって実現されてきた。

しかし、従来の露光技術では、さらなる微細化や複雑な半導体チップの低コスト製造が困難になっている。

そこで、キヤノンは「ナノインプリントリソグラフィ」と呼ばれる新しい技術の量産化に取り組んでいる。

この技術は、ウエハーステージや位置合わせ技術を活用することで、低消費電力と低コストで微細化を実現する。

詳しくみる ⇒参照元: ナノインプリントリソグラフィ