【ミイラ】"ヨーロッパ"で大流行した「ミイラ食い」のおぞましい歴史

19世紀末のフランス人画家ポール・フィリッポトーによる油絵に描かれたアメン神に仕える女性の神官のミイラの布をほどく場面を観察する様子が、ビクトリア女王時代の英国で人気の娯楽となった。

しかし、ミイラ食いは誤訳であり、食人療法とは異なる。

ミイラは万能薬とされ、ミイラ争奪戦が起こるほどの人気を博した。

ミイラは人為的加工ないし自然条件によって乾燥され、腐敗せず残っている人間またはその他の動物の死体である。

古代エジプトではミイラづくりが行われ、ミイラ自体のほかにも大規模な作業場の遺構も出土している。

ミイラから採取したDNAを使ったクローン誕生は研究対象とされているが、現代の科学ではミイラの組織においてはタンパク質が水分を失って変質しているため、生命活動を復活させることは不可能である。

ミイラ化するためには急激な乾燥が必要であり、自然条件においては成人一人がミイラ化するのに必要な期間は3か月と言われている。

ミイラ化する際には内臓が液化して体外に流出したり、野生動物に喰われたりしたあとに急速に乾燥するとミイラが形成されることがある。

人為的にミイラを作る場合には、脳や内臓を摘出し、乾燥させるか防腐処理を施す。

ヨーロッパ各地で多数のミイラが発見されているが、その中でも北ヨーロッパの湿地では驚くべき保存状態を示すミイラが発見されている。

これらの湿地遺体はボッグマンと呼ばれており、自然環境によって多様なミイラが形成されている。

湿地遺体には殺傷痕や絞殺痕が多く見られ、遺体の上には木の枝や石が置かれることもあります。

そのため、湿地遺体は「生贄として捧げられた」と考えられています。

また、カナリア諸島のミイラもヨーロッパのミイラとして興味深いものです。

エジプトのミイラは、脳は鼻の穴からかき出し、内臓は取り除いて別の容器に納め、心臓だけは体内に残される。

その後、ナトロンと呼ばれる塩類を使って体を乾燥させ、大量の亜麻布で包む。

エジプトのミイラは優れた防腐処置が施され、数千年が経過した今でも、ミイラを調べることで数多くの発見がなされている。

この女性のミイラは、内臓が取り除かれず、身体が儀式的に清められ、表面に物質が塗布され、ヤギの皮で作られたマットに包まれていた。

乾燥も人工的な痕跡はなく、ミイラは非常に良好な状態で保存されていた。

パプアニューギニアの一部の村では、祖先崇拝の一環としてミイラ作りの風習が残っています。

ミイラ作りの過程では、遺体の切断、内臓と肉の取り除き、乾燥させて再建し、最後に黒く仕上げるという作業が行われます。

ミイラは専用の小屋に安置され、皮膚と内臓が乾燥するまで煙でいぶされます。

その後、赤土で体全体を覆い、密林の中にある社に安置されます。

祝い事の際には、ミイラが社から運び出されることもあります。

ヨーロッパの泥炭湿地からは、驚くほど保存状態のよいミイラが見つかることがある。

これは地中の酸素が乏しく、細菌による遺体の分解が起こりにくいためだ。

泥炭湿地は酸素が乏しく、遺体を分解する細菌も寄りつくことができないため、長期にわたって原形をとどめることになった。

アイルランドで発見されたミイラの推定年代は、今から4000年前で、エジプトのツタンカーメン王のミイラよりも500年も古い。

ミイラのDNAはすでに分解しており、系統までは特定できないが、泥炭湿地のおかげで、生前の暮らしぶりや食事、生活水準などをうかがい知ることができる。

ミイラになった原因については諸説があり、研究者の中には、人々を病や飢饉から守れなかった王たちが、無残に殺されて湿地に放り込まれたのではないかと仮説を立てている。

ミイラ処置は身分階級によって工程数や値段に違いがあり、王族やファラオは念入りに処置される一方、庶民は安価で簡素な処置で済まされることもあった。

ミイラの語源はポルトガル語の「mirra」であり、元々は「没薬」を意味していた。

ミイラの防腐剤として没薬が用いられたことや、ミイラの粉末が不老長寿の薬として珍重されたことから、「ミイラ薬」と没薬の薬効が混同されたという説もある。

ヨーロッパの言語では「mummy」などの名称が使われており、これらはアラビア語の「mūmiya」に由来している。

日本語の「木乃伊」は中国語の「蜜人」に基づく表記であり、北京語では「ムーナイイー」と読まれる。

ミイラは16〜17世紀のヨーロッパで一般的な薬として広く使用されており、ミイラを取るための危険な作業も行われていた。

ミイラは内臓を摘出し、天然炭酸ナトリウムに浸し、包帯で幾重にも巻く方法で作成された。

この方法は古代エジプトのミイラ作成に由来し、心臓以外の臓器や組織は取り出され、カノプス壺に保管された。

また、古王国時代には遺体を石膏で覆い、第1中間期にはミイラマスク、中王国時代の第12王朝には人形棺が用いられるようになった。

さらに、神の化身とされた動物のミイラも作成され、後世には松ヤニが染み込んだミイラが燃料や調理の火に使われた。

ミイラは貴族の間で重宝され、肥料や薬、絵の具としても利用された。

ヨーロッパでは外科的施術が見世物として行われており、特に死刑囚に対する解剖ショーが人気を博していた。

南米のアンデス文明でも死者をミイラとする風習があり、パラカス文化やインカ帝国ではミイラの製作が行われていた。

中国や中央アジアでもミイラが作られており、中国では現在でも即身仏としてミイラが作られている。

ムンミヤ（mumia）はペルシャの山腹で見つかった黒い天然アスファルトで、アラブの世界で高い治癒効果があるとされていました。

しかし、西ヨーロッパ人がイスラム世界と出会い、文献を翻訳し始めた時、1つの誤訳から「ムンミヤ」の意味が広く誤解されてしまいました。

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エジプトの遺跡は盗掘と略奪の歴史を持っている。

古代王朝のピラミッドには副葬品が納められ、墓泥棒が現れた。

王たちは墓を岩山に作るようになったが、それも次々に暴かれた。

ツタンカーメン王の墓は例外的に盗掘を免れた。

盗掘者はエジプト人だけでなく、欧州の人々も文化財略奪に手を染めた。