少子化問題の解決策は?ヨーロッパと日本の現状を比較家族のあり方が問われている!!?
💡 ヨーロッパでは、父親の育休取得が促進されている。
💡 日本の男性の育児参加率は低い。
💡 少子化問題の背景には、家族主義的な規範と制度の存在がある。
それでは、本章では家族主義と男性の育児参加について詳しく見ていきましょう。
家族主義と男性の育児参加
男性の育休取得は、家族のあり方を変える重要な一歩と言えるでしょう。
公開日:2021/11/23
✅ スウェーデンでは、父親の育休取得を促進するために「パパ・クオータ制」を導入している。これは、父親に90日間の育休を義務付け、取得しなければ給付金を受け取れない仕組みである。この制度により、父親の育休取得率は大幅に上昇し、現在では480日の育休期間のうち、約3割を男性が取得するのが一般的となっている。
✅ スウェーデンでは、妊娠中の夫婦が「私たちが妊娠している」という表現を使うなど、出産前から夫婦で育児を分担するという意識が強い。また、育休中の給付金申請は会社を経由せず、直接社会保険庁に申請できるため、職場環境による取得のしづらさを感じにくい。
✅ フランスでは、今年7月から出産時の「父親休業」の日数を14日から28日に増やし、そのうち7日間の取得を義務化した。これは、父親の雇用形態による取得率の格差を解消するためである。フランスでは、男性の育休取得率は全体で7割ほどと高いが、雇用形態によっては取得率が大きく異なる。義務化により、より多くの父親が育休を取得することが期待されている。
さらに読む ⇒朝日新聞GLOBE+:世界のいまを伝えるウェブメディア出典/画像元: https://globe.asahi.com/article/14483316男性の育児参加は、女性の社会進出にも繋がる重要な要素ですね。
日本の少子化問題の根底には、家族主義的な規範と制度が根強く存在することが挙げられます。これは、女性の就労率と出生率の双方を抑制し、家族形成を停滞させている要因の一つです。家族主義とは、世帯がそのメンバーの福祉に主要な責任を負うべきとするシステムであり、育児や介護などのケア責任が家族に押し付けられている状態を指します。日本の男性の育児休業取得率は、国際的に見ても非常に低く、男性の育児時間も短いのが現状です。男性が育児に参加しやすくなるような制度的工夫と、育児休業取得を促進する風土作りが求められます。男性の育児参加を促進するためには、ジェンダー平等という理念に訴えるだけでなく、制度によって男性の意識や行動を変化させる工夫も必要です。育児休業を取得しやすい環境を整え、職場での育休取得に対する理解を深めることが重要です。
なるほどね。うちも、もっと育休取りやすい社会になったらええのになぁ。
日本とヨーロッパの少子化 異なる背景
少子化対策には、経済的な支援だけでなく、社会的な意識改革も必要です。
公開日:2019/10/18
✅ フランスは1世紀にわたり少子化対策に取り組んでおり、「産めば産むほど有利なシステム」を構築しています。具体的には、家族手当、所得税減税、年金加算、保育サービスの充実など、出産・子育てにかかる経済的負担を軽減し、育児と仕事の両立を支援する政策が導入されています。また、婚外子に対する法的差別を解消することで、子どもを産む選択肢を増やしています。
✅ スウェーデンとフランスでは家族政策が一定の効果を上げていますが、政策の効果が現れるまでには長い時間と多額の費用が必要であることがわかります。一方、ドイツでは家族政策に力を入れているものの、出生率は低いままです。これは、低出生率が文化として定着してしまっていることが原因であると考えられます。
✅ 日本は、多くの国民が結婚と出産を望んでいるにもかかわらず、出生率の低下を食い止める有効な対策が不足しています。OECDのシミュレーションでは、育児費用負担の軽減、育児休暇の延長、保育施設の整備強化、パートタイム就業の機会拡大など4つの対策を強化することで、出生率が回復する可能性があるとされています。日本はこれらの対策を強化することで、少子化問題の改善に効果が期待できるでしょう。
さらに読む ⇒トップページ - えびさわ由紀出典/画像元: https://ebisawayuki.jp/%E5%B0%91%E5%AD%90%E5%8C%96%E5%AF%BE%E7%AD%96/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9/フランスの少子化対策は、非常に効果的だと感じます。
日本とヨーロッパの少子化は、根本的な原因が異なります。ヨーロッパでは、フェミニズム運動やライフスタイル革命により、結婚や出産以外の選択肢が増加し、結果として少子化が進みました。一方、日本では、伝統的な家族観が根強く残っており、女性は経済的に夫に依存せざるを得ない状況にあります。そのため、結婚や出産を望むものの、経済的不安や社会構造的な壁によって実現できない人が多く、未婚化と少子化が進んでいます。特に、日本の未婚者は、男女交際も少なく、結婚希望率は高いにも関わらず、結婚に繋がりにくい状況が続いているのです。つまり、日本では、家族形成の格差が拡大し、伝統的な家族を築ける人と築けない人に分かれていると言えるでしょう。この状況は、カップル形成力の低下や経済的な不安定さ、女性の社会進出の遅れなど、複合的な要因が絡み合っていると言えるでしょう。
フランスはかしこいなぁ。少子化対策は、国が本気で取り組むべきやで!
変化する家族のかたちと男女共同参画
コロナ禍は、女性の経済的な負担を増大させたと言えるでしょう。
✅ コロナ禍では、非正規雇用比率が高い女性が収入減や失業に苦しんでいるため、特に女性の貧困が深刻化しています。特に、シングルマザーは収入減に苦しみ、生活が大きな打撃を受けています。
✅ コロナ禍では、DVや家庭での子どもの世話といった負担が女性に偏っていることが問題となっています。これは、社会に根強く残る「男は仕事、女は家庭」という固定的な性別役割によるものです。
✅ 女性の生きづらさは、個人の意識改革だけでは解決できない構造的な問題であると指摘されています。近代資本主義と近代家族の構造が、男性を労働者、女性をケアと労働力再生産の担い手と位置づけることで、ジェンダー不平等を助長しているのです。
さらに読む ⇒自治体問題研究所(自治体研究社)公式サイト出典/画像元: https://www.jichiken.jp/article/0244/ジェンダー平等を実現するためには、社会構造的な問題を解決する必要があります。
日本の少子化は、単に人口減少の問題ではなく、社会構造や価値観の転換期にあることを示唆しています。日本の結婚と家族を取り巻く状況は大きく変化しており、人生100年時代における課題として、男女共同参画の重要性が高まっています。女性の就業や生活への影響は大きく、特にコロナ禍では女性の雇用悪化や自殺者増加などが顕在化しました。一方で、家族の形は多様化し、単独世帯や共働き世帯が増加する一方で、結婚や出産を諦める人も増えています。
コロナ禍で、女の人の方が大変やったんかな?
男女共同参画を阻む要因
賃金格差は、男女共同参画を進める上で大きな課題です。
公開日:2024/03/14
✅ Indeed Japanの調査によると、働く女性の8割以上が男女間で賃金格差を感じており、そのうち半数以上は今後5年間でその格差が解消される可能性は低いと考えている。
✅ 役職別に見ると、課長以上が最も賃金格差を感じており、役職が高くなるほどその傾向が強いことが判明した。
✅ 山田進太郎D&I財団COO・石倉秀明さんは、男女間賃金格差の要因として、制度設計の落とし穴と、バイアスや偏見による格差を指摘し、成果主義の行き過ぎによる男女差拡大の可能性や、長時間労働や飲み会など、特定の働き方を前提とした企業文化が、女性の管理職への意欲を阻害している現状を説明した。
さらに読む ⇒FNNプライムオンライン|フジテレビ系FNN28局のニュースサイト出典/画像元: https://www.fnn.jp/articles/-/670890?display=full働き方改革を進め、女性の管理職登用を促進することが重要です。
このような状況下では、従来の固定的な性別役割分担意識や制度に基づく構造的な問題に対処する必要があると指摘されています。特に、男女間の賃金格差や働き方、意識の偏見などは、男女共同参画を阻む要因となっています。本記事では、政府統計や意識調査などを基に、家族の姿の変化や結婚と家族を取り巻く状況、そして男女共同参画の課題について詳しく解説しています。
うちは、男女平等やけん、そんなことないよ。
多様化する家族のかたちと社会保障
ひとり親家庭への支援は、社会全体の課題です。
公開日:2023/01/06
✅ 厚生労働省が発表した「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、ひとり親世帯の生活実態や子供の進路に関するデータが明らかになりました。
✅ 母子世帯は119万5千世帯、父子世帯は14万9千世帯と推計され、母子世帯の母の就業率は86.3%、父子世帯の父の就業率は88.1%となっています。
✅ 子供の進路では、中学校卒業後は母子世帯・父子世帯共に「高校」への進学率が最も高く、高等学校卒業後は母子世帯では「大学」への進学率が最も高く、父子世帯では「就労」が最も多いという結果が出ています。
さらに読む ⇒受験や進路・進学情報の教育ニュースは「リセマム」出典/画像元: https://resemom.jp/article/2023/01/06/70268.html多様な家族のかたちに対応できる社会保障制度の構築が求められます。
現代社会において、家族のかたちは多様化し、同性カップルやひとり親家庭など、従来の核家族とは異なる形態が注目されています。同性婚の合法化や選択的夫婦別姓の議論、ひとり親に対する税制改正など、家族のかたちをめぐる社会的な議論は活発化しており、家族社会学の分野でも、多様な家族のかたちとそれに伴う不平等が研究されています。特に、ひとり親家庭で育つことによる子どもの人生における不利な状況が指摘されており、高等教育進学率や親子関係の良好度、離婚率への影響などが挙げられます。これらの研究は、離婚の是非ではなく、ひとり親家庭に対する社会保障の充実が必要であることを示唆しており、子どもたちに平等な人生の機会を保障するための社会制度の構築が求められます。多様な家族のかたちを受け入れるだけでなく、あらゆる家族形態において、不利益が生じないような社会の実現が重要です。
昔は、家族の形なんて、みんな一緒やったけど、今は色々あるんやなぁ。
少子化問題の解決には、社会全体で意識改革と制度改革を進めることが必要です。
💡 ヨーロッパでは、父親の育休取得を促進する制度が導入されている。
💡 日本の少子化は、家族主義的な規範と制度が影響している。
💡 男女共同参画を進め、多様な家族のかたちを受け入れる社会を目指すべきである。