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自衛隊に女性は必要か? 佐藤文香氏の研究から見えてくるものジェンダーと軍事組織の関係とは!!!

自衛隊に女性は必要か? 佐藤文香氏の研究から見えてくるものジェンダーと軍事組織の関係とは!!!
📘 この記事で分かる事!

💡 自衛隊における女性の参画は、単なる男女平等ではなく、様々な課題や目的がある

💡 佐藤文香氏は、自衛隊の女性自衛官を研究対象とし、軍事組織とジェンダーの関係を探求した

💡 佐藤氏の研究は、自衛隊における女性の参画が、男性社会への適応だけでなく、女性の地位向上や新たな軍隊像の構築という側面も持ち合わせていることを明らかにした

それでは、第一章、女性の軍隊参画と佐藤氏の研究についてお話します。

女性の軍隊参画と佐藤氏の研究

女性の軍隊参画は、世界的に注目されていますね。

女性兵士はジェンダー平等の象徴なのか? 佐藤文香一橋大教授に聞く:朝日新聞デジタル

公開日:2024/03/12

女性兵士はジェンダー平等の象徴なのか? 佐藤文香一橋大教授に聞く:朝日新聞デジタル

✅ ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルによるガザ侵攻で、女性兵士の存在が目立つようになり、ウクライナでは女性兵士が6万人を超えているとされています。

✅ この増加には、戦争の長期化による男性兵士の不足と女性兵士の戦闘能力に対する認識の変化という二つの背景があると考えられます。

✅ 女性兵士の増加はジェンダー平等の象徴として捉えることもできますが、戦争は女性にも大きな負担を強いるものであり、女性が男性と同じように戦場で危険にさらされる現状には疑問視する声もあります。

さらに読む ⇒朝日新聞デジタル:朝日新聞社のニュースサイト出典/画像元: https://www.asahi.com/articles/ASS36540PS31UTIL00H.html

佐藤氏の研究は、自衛隊の女性参画が、単なる男女平等とは異なる複雑な問題であることを明らかにした点で非常に興味深いですね。

1973年に米国で徴兵制が廃止された後、フェミニズム運動の高まりを受け、女性も男性と同様に軍隊で活躍すべきという主張が台頭しました。90年代の湾岸戦争は、女性参画の大きな契機となり、4万人もの女性兵士が派遣されました。ハリウッド映画『G.I.ジェーン』は、女性が男性と同じ訓練に挑む姿を描いたサクセスストーリーとして評価され、女性が軍隊で活躍することへの期待が高まりました。佐藤氏は、男性社会の論理に合わせていくことが男女平等なのかという疑問を抱き、日本の自衛隊を研究対象とすることで、軍隊とジェンダーの複雑な関係を探求することにしました。日本のフェミニストからは自衛隊研究への抵抗に遭い、孤立感を抱いたこともありましたが、米国のフェミニスト国際政治学者、シンシア・エンローの論考から勇気づけられました。エンローは、軍隊における家父長制の作用、軍事化・脱軍事化のプロセスを検証するには、軍隊の中の女性たちの問題を深く観察することが重要だと指摘しました。佐藤氏は、自衛隊への女性参画が、男性社会の論理に沿ったものではなく、むしろ日本の軍事化、軍隊イメージのソフト化、人材不足解消など、様々な目的を持つことを見出しました。特に、自衛隊が女性を積極的に採用したのは、高度経済成長期に男性隊員不足が起こったことが大きな要因であると分析しました。佐藤氏の研究は、自衛隊の女性参画を通して、軍隊とジェンダーの関係が単純な男女平等とは異なる複雑な問題であることを明らかにしました。また、自衛隊が戦闘遂行から平和維持・人道的活動中心に役割をシフトしていることを踏まえ、自衛隊を新しい軍隊の在り方の先駆けと位置付けるべきだと主張しました。

いやー、女の人も軍隊おるんは知らんかったわー。でも、そらそうかー。

自衛隊の訓練と女性隊員の現状

自衛隊の訓練は、男性と女性で同じ内容なのですね。

初級ラッパ教育訓練 12人全員合格
初級ラッパ教育訓練 12人全員合格

✅ 松本駐屯地第13普通科連隊は、1月10日から3月22日の間、初級ラッパ教育集合訓練を実施し、12人の陸士が全員合格しました。

✅ 訓練では、日課号音や警報号音、礼式譜などの吹奏を学び、3月20日に行われた認定試験で全員が合格しました。

✅ ラッパ特技を取得した隊員たちは、今後、儀式や駐屯地の日課を示す号音を吹奏する任務に就く資格を得ました。

さらに読む ⇒防衛日報デジタル|自衛隊総合情報ニュースメディア出典/画像元: https://dailydefense.jp/_ct/17345077

女性隊員の訓練も男性隊員と同じように厳しいのですね。厳しいながらも、女性専用の宿舎があるのは安心ですね。

自衛隊の訓練は男女関係なく同じメニューです。女性隊員も男性隊員と同じように重い荷物を運び、厳しい訓練に耐えなければなりません。ただし、宿舎は女性専用で男性隊員は入れません。女性隊員が配属される職種は、会計や補給などの後方支援職種が中心です。戦闘職種や化学防護隊、潜水艦などでは配置が制限されています。これは、女性隊員の安全確保や、特殊な環境における課題を考慮したためです。自衛隊の訓練はラッパで始まりラッパで終わる厳しい生活です。朝6時には起床のラッパで起こされ、迷彩服に着替えてグラウンド集合。遅刻すると腕立て伏せ50回などの厳しい罰則が課せられます。自衛隊入隊には体力テストはありませんが、身体検査は行われます。しかし、女性隊員は男性隊員よりも試験難易度が高く、体力面だけでなく、精神力も求められます。

男の人も女の人も、みんな頑張っとるんやね。昔は、男の人しか軍隊に入れなかったけど、時代は変わったんやね。

女性自衛官の活躍と今後の展望

女性戦車小隊長が誕生したことは、自衛隊の大きな変化ですね。

広がる自衛隊の女性起用 戦車の現場にも 陸自初の女性戦車小隊長が臨んだ極寒の訓練
広がる自衛隊の女性起用 戦車の現場にも 陸自初の女性戦車小隊長が臨んだ極寒の訓練

✅ 陸上自衛隊に初の女性戦車小隊長が誕生し、これまで男性だけの戦車部隊に女性が起用されるようになりました。

✅ 女性戦車小隊長誕生の背景には、自衛隊における女性自衛官の配置制限緩和があり、潜水艦や戦闘機パイロットなど、これまで女性が配置されていなかった部署にも女性自衛官が起用されるようになっています。

✅ 記事では、北海道で行われた極寒の訓練の様子が紹介されており、女性戦車小隊長が率いる小隊の訓練の様子が詳細に記述されています。

さらに読む ⇒乗りものニュース出典/画像元: https://trafficnews.jp/post/97339

女性自衛官の活躍が目覚ましいですね。厳しい訓練をクリアして、男性と同じように任務を遂行していることは素晴らしいです。

自衛隊における女性の配置制限は、2018年に全面的に撤廃され、女性自衛官が男性しか就けなかった任務・職域に進出する道が開かれました。近年では、女性初の戦車小隊長、機動戦闘車乗員、空てい隊員、潜水艦乗組員、戦闘機パイロット、イージス艦艦長、救難飛行艇機長などが誕生し、女性自衛官の活躍が目覚ましいです。女性自衛官は、厳しい体力テストや訓練をクリアし、男性と同じ水準で任務を遂行しています。彼らの活躍は、自衛隊の多様性と能力向上に貢献しており、今後も女性自衛官の活躍の場はさらに広がっていくことが期待されます。

えー、女の人も戦車乗るん?かっこいいやん!

佐藤氏の研究と批判

佐藤氏の研究に対する批判は、難しい問題ですね。

女性兵士の拡大は「究極の男女平等」といえるのか 「女性兵士という難問」一橋大・佐藤文香氏に聞く

公開日:2022/09/11

女性兵士の拡大は「究極の男女平等」といえるのか 「女性兵士という難問」一橋大・佐藤文香氏に聞く

✅ ロシアによるウクライナ侵攻において、女性兵士の活躍が注目されています。ウクライナ政府は、女性兵士の姿をSNSで発信することで、国内では男性兵士への士気を高め、国際的にはウクライナへの同情とロシアへの非難を強める効果を狙っていると分析されています。

✅ ウクライナ軍では全体の15.6%、3万人超が女性兵士であり、これはNATO諸国の平均12%を上回ります。旧共産圏では、アメリカやイギリスとは異なり、早くから女性を戦闘職種に配置してきた歴史があります。

✅ 女性の軍事動員は世界的に拡大していますが、男女平等を名目に女性を戦場に送り出すことは、改めてその是非を問い直す必要があると指摘されています。

さらに読む ⇒ 東洋経済オンライン出典/画像元: https://toyokeizai.net/articles/-/616568

ウクライナ侵攻において、女性兵士の存在が注目されていますね。女性を戦場に送り出すことは、改めてその是非を問い直す必要があると思います。

佐藤文香氏は、自衛隊における男女平等論がタブー視される状況の中、軍事組織とジェンダーの研究を進めてきました。自衛隊の女性を研究対象とすることに対する批判、特に「慰安婦」や基地近郊での売買、軍人による性暴力被害などの問題に目を向けるべきだという意見に直面しました。しかし、佐藤氏は自衛隊内の女性の状況が社会における男女格差の根深い構造を反映しており、自衛隊の女性についても研究する必要があると確信していました。

うちは、女の人が戦場に行くのは反対やけん。男の人だけで戦っとけばええやん。

研究の集大成 「軍事組織とジェンダー――自衛隊の女性たち」

佐藤氏が自衛隊の女性自衛官を研究対象とした背景には、深い思いがあったのですね。

自衛隊という職場―女性自衛官から考える軍隊とジェンダー

公開日:2023/03/27

自衛隊という職場―女性自衛官から考える軍隊とジェンダー

✅ 佐藤氏が自衛隊の女性自衛官を研究対象とした背景には、米国のフェミニズム運動における女性兵士参画の潮流への違和感があったこと、そして、女性自衛官を「他者化」せず、彼女たちの経験や動機を深く理解することで、軍事組織とジェンダーの関係の本質に迫りたいという強い思いがあったことが挙げられます。

✅ 佐藤氏は、自衛隊の女性自衛官研究を通して、日本の自衛隊が、男性の人材不足やイメージアップのために女性を活用してきた歴史と、国際的な潮流に歩調を合わせる形で女性の参画を進めてきた現状を明らかにしています。特に、女性自衛官の採用拡大は、高度経済成長期における男性の雇用難、国際連合の女性差別撤廃条約の批准、そして、男女雇用機会均等法の施行などが大きな要因であったと指摘しています。

✅ 佐藤氏は、自衛隊における女性の参画が、単に男性社会への適応という側面だけでなく、女性の地位向上や新たな軍隊像の構築という側面も持ち合わせていると論じています。さらに、自衛隊を「特殊」な組織と捉えるのではなく、戦闘遂行から平和維持・人道的活動中心へと役割が変化していく中で、新たな軍隊の在り方の先駆けとなる可能性も示唆しています。

さらに読む ⇒nippon.com出典/画像元: https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00838/

佐藤氏の研究は、自衛隊における女性の参画が、単なる男性社会への適応ではないことを示している点が重要ですね。

2004年に出版した「軍事組織とジェンダー――自衛隊の女性たち」は、長年続いた佐藤氏の研究の集大成であり、軍事組織におけるジェンダー問題の重要性を示すものでした。

女の人が軍隊に入るのは、時代が変わった証拠やね。でも、女の人には優しい世界であってほしいもんやね。

佐藤文香氏の研究は、自衛隊における女性の参画が、単なる男女平等ではなく、様々な課題や目的を持つことを明らかにしました。

🚩 結論!

💡 自衛隊における女性の参画は、男性社会への適応だけでなく、女性の地位向上や新たな軍隊像の構築という側面も持ち合わせている

💡 佐藤氏の研究は、自衛隊の女性自衛官を「他者化」せず、彼女たちの経験や動機を深く理解することで、軍事組織とジェンダーの関係の本質に迫っている

💡 自衛隊における女性の参画は、時代と共に変化しており、今後の動向が注目される