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『沖縄ヤンキーと暴走族(打越正行氏)は何を調査したのか?』沖縄下層社会と暴走族、若者の現実

沖縄の若者を苦しめる労働環境の深層に迫る! 打越正行氏の研究は、伝統文化ではなく、産業構造と「地元」の強固な結びつきに焦点を当てる。建築、風俗、違法就労…過酷な現実を暴走族への潜入調査を通して解き明かす衝撃作。社会学者ポール・ウィリスを参考に、現代版「ハマータウン」を描き出す。暴走族「打越スペクター」の過去と現在、そして著者の知られざる潜入秘話とは?

『沖縄ヤンキーと暴走族(打越正行氏)は何を調査したのか?』沖縄下層社会と暴走族、若者の現実

📘 この記事で分かる事!

💡 沖縄の若者が地元の狭いコミュニティから抜け出せないのは、産業構造や経済的な問題が原因である。

💡 社会学者の打越正行氏が、10年以上にわたり暴走族やヤンキー社会の実態を潜入調査した。

💡 暴力団「打越スペクター」の歴史と実態、中野英雄氏の青春時代と暴走族について解説する。

それでは、まずこの記事でご紹介する内容を3つのポイントに絞ってご説明いたします。

沖縄の下層社会と若者の現実

沖縄の若者を苦しめる「地元」の力とは?

生活、仕事、家族が絡み合い、下層労働を再生産。

沖縄の若者が抱える問題は、文化や個人の問題だけでなく、社会構造に根ざしていると筆者は述べています。

厳しい労働環境や「地元」の人間関係が、彼らを縛り付けているようです。

なぜ沖縄の若者たちは、地元と暴力から抜け出せないのか?/打越正行氏インタビュー
なぜ沖縄の若者たちは、地元と暴力から抜け出せないのか?/打越正行氏インタビュー

✅ 沖縄の下層の若者が、地元や暴力的な環境から抜け出せないのは、生活様式や文化ではなく、産業構造や経済的な問題が原因であると筆者は述べている。

✅ 筆者は、暴走族やヤンキーの若者たちの生活に密着し、彼らの就労や「地元」との繋がりを調査。特に、彼らが厳しい労働環境(建築業、風俗業など)に就く背景には、地元の人間関係が深く関わっていることを明らかにした。

✅ 筆者は、暴走族への調査開始時に盗難車に関わってしまい最初の調査は失敗に終わったが、それがきっかけとなり、その後は「捕まった人」として認知され、関係性を築くことになった。

さらに読む ⇒SYNODOS – 専門家の解説と教養のポータルサイト出典/画像元: https://synodos.jp/opinion/society/19337/

打越氏の研究は、沖縄の若者の置かれた状況を、従来の文化論とは異なる視点から分析しています。

経済的要因と、それを取り巻く人間関係の複雑さが、問題の本質を示唆しているようですね。

打越正行氏は、沖縄の若者が厳しい労働環境から抜け出せない原因を、従来の文化論ではなく、産業構造や経済状況に焦点を当てて研究しています。

彼らは、建築業、風俗業、違法就労といった厳しい仕事に従事し、その背景には「地元」という強い影響力があります。

この「地元」は、生活、仕事、家族関係が密接に絡み合い、下層労働の再生産に適合的に機能しているのです。

打越氏は、暴走族やヤンキーの生活を調査し、彼らの置かれた状況を詳細に分析しています。

彼の研究は、イギリスの社会学者ポール・ウィリスの『ハマータウンの野郎ども』を参考に、現代沖縄における「もうひとつの合理性」を描き出そうとしています。

えー、なんかちょっと難しい話やなー。でも、地元から抜け出せへんって、あたしらみたいなんにも関係あるんかな?

研究者と暴走族、初期の出会い

打越氏、暴走族潜入調査で何が起きた? 逮捕された?

窃盗バイクで事情聴取。関係性を築くきっかけに。

打越氏は、研究の初期に暴走族への潜入調査を試み、様々な困難に直面します。

しかし、それを乗り越え、暴走族との関係性を築き上げていく過程が描かれています。

ヤンキーや暴走族の゛パシリ゛として潜入取材! 暴力的な絆社会のウラにあるものは――
ヤンキーや暴走族の゛パシリ゛として潜入取材! 暴力的な絆社会のウラにあるものは――

✅ 社会学者の打越正行氏が、沖縄の暴走族やヤンキー社会の実態を調査するため、10年以上にわたり潜入取材を行った記録。

✅ 暴走族のパシリとして経験を積み、暴力的な上下関係や、先輩・後輩の関係性の中で若者たちが置かれている状況を明らかにした。

✅ 沖縄の若者が厳しい現実の中でも社会に留まる背景には、米軍基地問題など沖縄が抱える歴史的、社会的な問題が影響していると考察している。

さらに読む ⇒ダ・ヴィンチWeb出典/画像元: https://ddnavi.com/article/d539437/a/

最初の失敗から関係性を築くに至る過程は、研究者としての執念を感じさせます。

自らを「何も知らない人」とすることで、相手との距離を縮める手法は興味深いですね。

打越氏は、研究の初期に暴走族への潜入調査を試み、窃盗バイクに関わって警察に事情聴取されるという洗礼を受けました

しかし、この経験がきっかけとなり、結果的に暴走族との関係性を築くことに成功します。

自身の「何も知らない人」というレッテルを逆手に取り、彼らとの距離を縮め、研究を進める上でプラスに働かせました。

いやあ、俺も昔はちょっとワルぶってた時期があったけん、こういう話は興味あるね!でも、まあ、今は真面目にやっとるよ!

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1970年代に台頭した暴走族「打越スペクター」。抗争、犯罪、逮捕… 激動の歴史を駆け抜けたグループの実態に迫る。元メンバーの証言から、その知られざる姿が明らかに。