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「映画化すると儲かるの?」ファンのド直球な質問への『銀魂』作者の返しが秀逸

「映画化すると儲かるの?」ファンのド直球な質問への『銀魂』作者の返しが秀逸

「週間少年ジャンプ」連載中の『銀魂』

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2004年から連載中の空知英秋先生初の連載。

幕末に天人(あまんと)と呼ばれる宇宙人が襲来したという設定からはじまるSF時代劇のコメディ漫画。

単行本は2016年11月現在第66巻を刊行。

5000万部を突破

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なんと、単行本は2016年5月で累計発行部数5000万部を突破しました。

2006年からはTVアニメ化。2010年と2013年にはアニメ映画「劇場版 銀魂」も公開されましたね。

 

さらに!!

 

2017年には実写映画「銀魂」が公開予定です。

 

監督は福田雄一氏、主演は小栗旬さんに決定

そんな中、原作者・空知英秋先生が、「空知の読者とふれ合う質問コーナー」2013年に掲載された読者への回答が秀逸すぎると話題になっています。

先生に質問です。母が・・・

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先生に質問です。この間、母が「劇場版 銀魂」がヒットしているということを聞いて「きっとこれぐらいの人気があるならヒルズにでも住んでいるのね~~」と言っていました。本当ですか?

空知先生の答え

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「生々しい話をしますと、映画というのはどれだけ観客が入ろうと、どれだけ興収をあげようと作家の懐には何も入ってきません。最初に原作使用料というものが支払われるのみです。

全体の興収からいえば、ハナクソみたいな額ですね。ほとんどの金は集英社・サンライズといったうす汚い悪徳業者の懐に入ります。単行本を発売した方が、よっぽど儲かります。

なのに、血尿をたれ流してまで映画に協力したのかというと世の中にはヒルズなんかより素敵な物件があるからです。それはね、お母さんあなたの心です。皆さんの心に銀魂を届けられるなら僕らはダンボールヒルズに住んだってかまわない。

作家だけはそんな誠実な気持ちで作品作りに取り組んでおります。なので、お母さん僕らを哀れと思ったら映画だけじゃなく単行本も買って印税で僕をヒルズに住まわせてください。」

※原文通り

 

空知先生のお人柄も感じられる回答です。まとめてみると・・・

・映画はいくらヒットしようが、作家の懐には僅かな収益しか入ってこない
・原作使用料が支払われるのみ
・単行本の印税の方が儲かる

ということになります。

そもそも原作使用料はどんな仕組みで支払われるのか

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ある原作を映画会社が使いたい場合、原作の出版社もしくは版権を管理するエージェントに手付けとして、オプション契約(予約権のようなもの)を含めた金額を支払う。それが映画化権の許諾契約金、すなわち原作使用料である。

 

ある原作を映画会社やテレビ局が使用したい場合・・・

出版社あるいは出版権を持つエージェント会社に契約金(手付け金)を支払う

♢♦これが、すなわち原作使用料となります♦♢

映画の原作使用料の金額には、ある一定の基準がある

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以前、『テルマエ・ロマエ』の原作者・ヤマザキマリ先生が、バラエティ番組で「映画の興収は58億円だったが原作使用料は約100万円だった…」と、衝撃的な告白をして話題になりました。

ヤマザキ マリ

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1967年4月20日生まれ

漫画家・随筆家

海外暮らしが長く、現在はイタリア在住

ヤマザキマリは、「映画がいくらヒットしたところで、私自身は全然儲からなかった」と激白。

ある日突然「原作使用料として100万円くらい入金されるからよろしくね」と出版社に言われ、金額も勝手に決められていたようです。

物議を醸した「映画原作使用料」について、日経エンタティメントが独自調査をした記事が掲載されていましたので、ご紹介させていただきます。

上限は1000万円と定められている

日本文藝家協会の規約第25条

「映画制作及び上映等における著作物の使用料は、番組制作費や提供価格等を斟酌(しんしゃく)し、1000万円を上限として利用者と本協会が協議して定める」

という取り決めが、目安となっています。

 

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1000万円を上限と定められているようです。

原作者、作家の知名度が高いほど原作使用料は上がりますが、高額でも700万円程度。

原作者が受け取るのは、このうち約6割~8割だとか。

作家には金銭面で発言権がない!?

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「テルマエロマエ」で例えると、ヤマザキ先生の交渉代理人を担った著作権に詳しい弁護士の話によれば、フジテレビと直接契約関係にあるのは出版社。

フジテレビと直接契約関係ではないヤマザキ先生は、原作使用料について意見を言えない立場となるようです。

ヤマザキ先生は、この流れを理解していた上でのテレビ発言で過剰すぎる話題となってしまったようです。

”原作者は金銭面における発言権がないのか”

となると講談社の編集者は「ケースバイケース」だと語っています。

さらにこう続けます・・・

宇宙兄弟

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「例えば、弊社が契約する作家・小山宙哉の『宇宙兄弟』コンテンツを0から1にしたのは小山さんの力です。けれど映画ビジネスにおいて、1を最大化するのは監督、俳優、音楽など様々な要素が関わるし、原作者が最もお金をもらうべきかというと、必ずしもそうとは言えない。ただ、実績があり、黒字が見込める人気作家の原作、当たった映画の続編などは原作者の力は強くなります」

なるほど…
十分すぎる解説ですね。理解できます。

また、出版社は作家の代理人となり、作家と直接の窓口は編集者。

ビジネスの交渉をするのは、出版権に関わる部署の人間であるため、作家にきちんとビジネスの説明をせずに、映画化の話が進むことも少なくはないようです。

空知先生の回答に対するネットの声

 

https://twitter.com/beasty__baby/status/799645995713691648

・完全に舐めてるとしか思えない…原作への愛情とか敬意とか無いんですかね!!

・契約による監督とかもそうだけど最初に額決めちゃうか売り上げで上乗せするかとかまぁ原作者に関してはほぼ映像化の権利料を最初に払って終わりだろうけど

・これが、原作と作画が別れているマンガだと、さらに使用料が折半になるんだよ。2倍にならないんだよ。

空知先生の回答文に賞賛の声!

・空知に本当に尊敬の眼差し(先生をつけろ)

・空知先生の受け答えの悪態をつきながらも真摯でゴリラな姿勢を崩さない軽快さが好き

・空知先生の場合、半分くらいふざけて言ってるのかもしれないけど、「心に銀魂を届けられるならダンボールヒルズだって構わない」のくだりは、プロ意識を感じるな〜と…

世の中にはヒルズより素敵な物件がある。それは・・・

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空知先生の「読者とふれ合う質問コーナー」です。

この回答を読み、映画がどんなにヒットしようが、原作者に入るお金は”雀の涙ほど”だということが痛いほど良く分かりました。

けれど「世の中にはヒルズより素敵な物件がある。それはお母さんあなたの心です!」と答える空知先生の温かいお人柄が感じられます。

これからも誠実な気持ちで、ファンの心に「銀魂」を送り届けてください。