謎に包まれた陸上自衛隊「別班」とは？正式名称と活動内容を解説

陸幕2部「別班」の活動は長らく隠蔽されてきたが、元隊員の証言により明らかになった。

合同司令部の下には「工作本部」と日米それぞれの「工作支援部」があり、約20人程度の工作員が外国情報の収集に従事していた。

収集された情報は米軍と陸幕2部に報告されていた。

軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏によると、別班のルーツは1950年代に埼玉県と東京都にまたがるキャンプ・ドレイクを拠点に、米陸軍が自衛官を研修した軍事情報特別訓練とされる。

別班は「陸幕2部情報1班特別勤務班」として極秘裏に創設され、73年には韓国の野党指導者だった金大中元大統領が東京で拉致された事件でも、別班の関与が取りざたされた。

しかし、黒井氏は別班の海外展開については否定し、「組織としては既にない」との見解を示している。

CIAからの工作依頼を受けていた「別班」は、内局調査課を経由して依頼を受けており、その活動拠点は転々としていた。

しかし、現在の「別班」の動向については詳細な情報が得られておらず、500部隊の関連部署に再就職したOBも存在するという。

さらに、陸幕2部は名称を変えながらも現在も「別班」の廃止についての情報はない。

日曜劇場「VIVANT」が盛り上がりを見せているなか、ドラマに登場する「別班」への関心も高まっています。

前回の記事では、金大中事件から「別班」の存在が明らかになるまでの経緯を説明しました。

今回の後編では「別班」の起源や活動内容について詳しく見ていきたいと思います。

昭和20年8月、第二次世界大戦が終了。

旧日本軍の情報将校たちは、アメリカ進駐軍の情報部門との関係を築き始めます。

元参謀本部2部長の元中将・有末精三がGHQの情報部「G－2」のチャールズ・ウィロビー准将と緊密に連携し、非公式の情報工作活動を展開。

このグループは「有末機関」とも呼ばれ、多くの元情報将校が参加していました。

1950年6月25日、朝鮮戦争が勃発。

これを受けてGHQのダグラス・マッカーサー司令官は、日本に対し「警察予備隊」の設立を命令します。