疲れた人間関係と境界性パーソナリティ障害の特徴と治療法

境界性パーソナリティ障害は、特徴的な考えや感情を持ち、認知や行動の偏りが大きいために対人関係を円滑に築くことが困難となり、時に自殺未遂や薬物の乱用などの衝動的な行為をしてしまう病気のことです。

この障害にはいくつかのパターンがありますが、境界性パーソナリティ障害では、衝動的な行動・過度に情緒的・一貫性の欠如が特徴となります。

患者は他者から“見捨てられる”ことを極端に恐れ、常に不安感を抱くと共に、他者の気を引くために常識を逸脱した行動を繰り返し、時には自己を傷つける行為に出ることもあります。

また、他者と非常に不安定な関係しか築くことができず、患者が自分の味方だと思う他者に対しては異常なまでの執着を示す一方で、自分の味方でないと認識した途端激しい攻撃に出ることがあります。

境界性パーソナリティ障害は、恐れや不安感による日常生活への影響が大きい精神疾患です。

患者は他者から見捨てられることを過剰に恐れ、それによる不安感から常に不安を抱き、生活に満足感や幸福感を覚えにくくなります。

また、常識的でない行動や言動を繰り返し、自傷行為や過剰な行動が見られることもあります。

さらに、自身と他者との区別がつかなくなり、適切な距離感を保つことが難しくなることも特徴です。

境界性パーソナリティ障害の治療は精神療法が主体となります。

患者は自分の考え方や感じ方の特性を自覚し、周囲との関わり方に問題を引き起こすような行動を理解することが大切です。

問題の認識を深め、日常生活への対処を積み重ねることで改善が期待できます。

また、精神療法だけでは効果が不十分で、強い症状によって日常生活に支障をきたしているようなケースでは、標的とする症状をしっかり定めたうえで薬物療法が補助療法として行われることがあります。

医師の方へ境界性パーソナリティ障害の詳細や論文等の医師向け情報を、Medical Note Expertにて調べることができます。

境界性パーソナリティ障害は、男性より女性のほうが発症率が高く、比較的若い世代に多くみられます。

治療が難しいケースが多いですが、中年以降に自然と症状が改善していくことが多いといわれています。

発症メカニズムは明確には解明されていませんが、環境や身体的要因が関与していると考えられています。

環境的要因として多いのは、小児期の虐待体験であり、身体的・性的虐待やネグレクトなどを受けていることが多いというデータがあります。

逆に養育者からの過度な干渉が発症の原因となることも考えられています。